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中野・出崎の研究不正事件と上智大学の対応⑦

10月1日文科大臣宛報告より

7 上智大学当局による研究不正調査の懈怠と進捗

被害者の藤岡信勝、藤木俊一、山本優美子の3名は、4月27日、不正な研究が行われた上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科の委員長あてに問題の発生した経緯を説明するとともに、インタビューに訪れた3名の元大学院生に関する質問状を送りました。すると、デヴィッド・ワンク委員長から、出崎本人からの書面による同意がない限り対応しないとの返信があり、回答を拒否されました。つまり、門前払いです。
 そこで、6月21日、藤岡信勝は、山本優美子の協力のもと、「告発窓口」として大学が指定している監査室に電話をし、窓口担当者に30分ほど説明をしました。そして、同学の責任者の立場にある学長または研究倫理担当の副学長に説明のための面会のアポを求めました。ところが、当方への返事は、学長・副学長との連絡がつかない、連絡はついたが検討中である、面会するかどうかも検討中だ、いつまでに結論を出すかは答えられない、などの極めて不誠実な、際限のない引き延ばしでした。
 上智大学当局において、事件に誠実に向き合う姿勢が全く見られないために、私たち5名はやむなく、出崎幹根および中野晃一の研究不正に関する「通告書」(8月28日付け)を内容証明郵便として代理人経由で、上智学院佐久間勤理事長と上智大学嘩道佳明学長あてに送付しました。すると、事件の最初の告発から実に4か月以上も経過した9月2日、告発者側は、大学が調査委員会を組織する予定であるとの連絡を電話にて受けました。9月4日には、「上智大学における研究活動上の不正行為に係る調査の手続きに関する内規」の規定に従って、大学から9月3日付けの調査委員名簿が送られてきました。しかし、5名で組織される調査委員のうち、研究者は2名であり、驚くべきことに、その両名ともが、明らかに研究上・運動上、中野の人脈に属する人物でした。私たちは、三度、裏切られたのです。当然、私たちは、詳細な忌避理由を記した異議申立書を提出しました(9月11日)。
その後、9月25日付けで、①「通告書」および「異議申立書」を踏まえ、②調査対象事項を改めて検討すべく、③調査委員を一部交代させたうえで、④予備調査の実施を予定している旨の「ご連絡」が学長からありました。しかし、①「通告書」の発出主体は5名であるにもかかわらず藤岡信勝のみを告発者として位置づけ、②交替する調査委員が誰なのかも明示されず、③予備調査の役割は本調査を実施するかしないかの判断材料を集めるものであるため、本調査を取りやめにする意図と可能性も否定し得ないものです。
私たちは四度裏切られるわけにはいきません。そこで、今度は「公開質問状並びに異議申立書」として、本日付けで文書を発出しました。

【追加】10月1日付けで学長宛に発送した文書は次のとおりです。これに対する返信は10月13日現在、まだ届いておりません。ただし、指定した「7日後まで」の時点にあたる10月8日付けで、学長から回答をもう少しのばしてほしいとの文書が届いています。


2019年(令和元年)10月1日
上智大学
学長 嘩道 佳明  殿

藤岡 信勝
112-0005東京都文京区水道2丁目6-3
新しい歴史教科書をつくる会気付

質問状並びに異議申立書

(1)9月27日夕刻、貴信「ご連絡」を落手いたしました。貴信によれば、①「通告書」(8月28日付け)と「異議申立書」(9月11日付け)等を踏まえて、「調査対象事項をあらためて検討」する、②「調査委員会委員について、一部交代する」、とのことで、いずれも、小生の「異議申立書」の主張が認められたものと理解いたしました。
 しかし、その一方、どうしても納得できず再び異議を唱えざるを得ない部分と、十分理解出来ない点や質問させていただきたい点などがございます。そこで、この文書をしたためることといたしました。この文書到着の日から起算して7日以内に誠実なご回答を求めます。

(2)貴信の内容は次のような5つの箇条書きにまとめることが出来ます。
①9月11日付けの異議申立書と8月28日付けの通告書等をふまえ
②調査対象事項を改めて検討すべく、予備調査の実施を予定している
③予備調査を行うにあたっては、通告書記載の事情の詳細等についてもお話をうかがいたいのでご協力をお願いしたい
④これに伴い調査委員会委員について、一部交代することとしている
⑤DEZAKI NORMAN M氏及び中野晃一氏より、告発者及び告発内容の開示の要請があったので、「貴殿」[藤岡信勝-引用者注]より告発があったことと、通告書記載の告発内容の概要を両名に通知する

(3)ここからわかる、貴学の新たな方針は次の5点です。
ア)初めて内容証明郵便で送った「通告書」(前便では無視されていたもの)を調査の対象としたこと
イ)「本調査」と言っていたのを「予備調査」に変えたこと
ウ)初めて聞き取りをするとしたこと
エ)被告発者に「中野晃一」が初めて入ったこと(通告書を対象に据えた結果である)
オ)調査委員の一部交代をすることとしていること(中野人脈で固めた人事を撤回した)

(4)さてそこで、異議を申し立てなければならない第一は、退任・就任する委員の人数と実名が伏せられている問題です。
 今回の貴信では、交代する人数(当然2人以上であるべきだが)は何人か?、誰が交代して委員をやめるのか?、その代わりに就任した委員は誰か?、が全てブラックボックスになっています。前便では5名の委員の実名が記され、従って当方においても調査が可能で異議を申し立てるにいたったのですが、今回は交代した委員の実名がありません。実名がないから、この交代が本当にこの問題に取り組む貴学の姿勢の改善を意味するのか、それとも事態を糊塗するものなのか、判断のしようがありません。ありていに言えば、中野人脈の人物を代わりに据えることはいくらでもできるからです。ですから、必ず実名を示し、それについて前便と同様、7日間の判断の猶予を与えていただくことを要求します。
 なお、当方には調査を引き延ばす意図は全くありません。すでに告発から2か月半が経ち、この間、不当な映画の上映によって、毎日毎日、私は侮辱され人権を侵害され続けているのですから、一刻も早く調査を熱望する立場にあるのです。そこで、上記の「?」を付けた3つの点につき、必ずお答え願いたい。

(5)第二の異議は、告発者を「藤岡信勝」一人にしぼっていることです。これは極めて不当で、厳重に抗議します。今回、新たに告発内容として位置づけた「通告書」の発信主体は、代理人弁護士ではなく、内容証明郵便の文書のとりまとめと発信業務を弁護士に依頼した、ケント・ギルバート、トニー・マラーノ、藤岡信勝、藤木俊一、山本優美子の被害者5名です。「ご連絡」の文面では、その中から藤岡のみを恣意的に選び出して告発者として出崎・中野両氏に知らせ、他の4名は無視しています。これはまったく認められません。告発者は上記5名であると訂正していただきたい。

(6)第三の異議は、貴信には、調査の日時や調査方法などについての具体的な事実が少しも書かれていません。調査方法について、直ちに当方の代理人弁護士を含めた被害者たちとの協議の場を用意していただくことを要求します。

(7)以下は、不明な点についての質問です。
 a)被告発者の2人に、告発者及び告発内容の開示の要請があったので、通知するとしています。「通知」は、「上智大学における研究活動上の不正行為に係る調査の手続きに関する内規」の第何条に基づくものなのですか? 普通、被告発者に対する「通知」は告発者側からのヒアリングの後になされるのが常識と考えられますが、このような措置をとられたのはなぜですか?
b)それならば、当方も貴学より回答を拒否されている事項がありますので、開示願いたいので1点だけ質問します。大学院生出崎幹根の修士課程入学時点は何年何月ですか?
 c)9月3日付けの貴信では、「本調査」を実施する、と書かれていました。ところが、今回の貴信では、予備調査を行い、それに基づいて本調査を行うかどうかを決定する、と読める内容となっています。前回は予備調査を省略し本調査の実施を決めたと解釈できますが、今回、それを変更して予備調査から始めることに変えたのはなぜですか?
 d)第15条(本調査の通知)第11項に「学長は、本調査を実施することを決定したときは、当該事案にか係る研究費等の資金配分機関及び関係省庁に、本調査を行う旨を報告するものとする」とあります。前便貴信では、「本調査」の開始をうたっておりましたので、9月3日時点で、文部科学省に報告はされたのですか?
以上、「?」マークのついた質問について、明確にお答え下さい。(以上)

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