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慰安婦ドキュメント「主戦場」 デザキ監督の詐欺的手口 (7)

月刊Hanada 2019年8月号掲載

新しい歴史教科書をつくる会副会長
藤岡信勝

「指導教官」中野晃一の責任

 そのなかで中野は、なんと映画「主戦場」の宣伝を買って出て紹介し、「実はこれ、私の教え子つくった映画でありまして」と、みずから出崎の指導教官であることを名乗り出たのである。しかも、その講演のなかで中野は、驚くべきことを述べていた。言葉どおりに文字起こしした発言を引用する。(傍線は引用者)

 《ちょっとひとつ宣伝をさせてください。お手持ちのチラシの中に、この映画のチラシが入っていると思うんですが、よくご覧いただくと私も│[出演者の写真で]櫻井よしこの上、杉田水脈の隣という非常に微妙な位置に顔があるんですけれども│この映画に関わっておりまして、出てるだけではなくて、実はこれ私の教え子がつくった映画でありまして、修士の院生だったんですね。オリジナルカットのものが修士論文に代わる学位を取るための制作物で、ちょっと変わってるんですね》

 《その後、さらに編集やったり音楽入れたりとかですね、いろいろこれ本当に手弁当で、クラウドファンディングで少しお金集めただけで、本当に低予算で手作りなんです。もともとユーチューバーで、ビデオをつくって動画を載せたりした経験はあるんですけれども、そんな彼がですね、つくりました》

 中野は、「オリジナルカットのものが修士論文に代わる学位を取るための制作物」(A)であるとし、「その後、さらに編集やったり音楽入れたり」してつくった映画(B)とをキチンと分けて説明している。「合意書」で藤岡らが許可したのは(A)についてであって、それを(B)に転用することは、すでに見たように「合意書」8項で明確に禁止しているのである。それは、契約違反・不履行に当たる違法行為であり、かつ、映像・音声の無断使用という著作権・肖像権・人格同一権を侵害する不法行為でもある。出崎のみならず、それを幇助した「指導教官」中野の責任も免れがたい。

 中野は出崎が、ユーチューバーとして、女装して日本人女性を侮辱する動画をつくったりした過去を知っている。それでいて、その「教え子」の違法につくられた映画を宣伝までしてやっているのである。この師にしてこの弟子ありと言われても仕方がない。

大学の規則にも違反

 上智大学の規則を調べて見ると、「上智大学『人を対象とする研究』に関するガイドライン」というものが制定されている。ここで「人を対象とする研究」とは、今回の出崎の「卒業制作」のように、人に対してインタビューを行い、それをデータとしてまとめる研究などのことである。

 藤岡らは、出崎の研究の研究対象者であり、研究協力者でもある。そして、研究の公表に当たっては、研究対象者の人権が守られなければならないとしてきびしい審査が課せられており、この審査をパスしなければ研究に着手することが出来ない仕組みになっている。大学としては、研究倫理について大変しっかりした基準を設けているのである。

 ところが出崎の研究については、この審査を受けた形跡がない。毎年審査結果として、審査に合格した者のリストがネットにも公表されているのだが、該当する年度とその前後の年度を調べても、出崎の研究を合格したリストの中に発見することはできなかった。

 右の「ガイドライン」には、事前審査を受けなければならない研究かどうかを自ら確認するための二十四項目のチェックシートが付いている。その一番目には、「研究対象者が何らかの身体的または精神的な負担、不快、苦痛あるいは危険性を伴う可能性がある」という項目が据えられており、出崎の研究は、まさにこの可能性があるものだった。

 現に、藤岡らは名誉まで毀損され、耐えがたい苦痛を感じるほどになっている。各項目には〈yes no〉の選択肢が置かれ、二十四の項目のうち、ひとつでもyesがあれば審査を受けなければならないことになっている。出崎の研究は、一つどころか沢山の項目が当てはまるものである。  今後、藤岡らは、出崎と配給会社東風に対し司法的手段に訴えるとともに、出崎と中野の研究倫理違反の恐れのある行為に関して、上智大学に常設されている告発窓口に被害者として問題を提起する予定である。

(参考)中野晃一教授が出崎監督の指導教官であることを語っているシーン

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